最近、データサイエンティストとして転職活動をして内定をいただきました。
内定を得るのに実務経験が大事であることは言うまでもないですが、ここでは転職活動で役立つと筆者が考えている次のアウトプットや称号を整理してみました。
- Kaggle
- 論文
- 特許
- 書籍
- ブログ
- ソースコード
- 資格
- 学位
筆者が転職活動の時点で何らかの実績を持っていた項目(各項目の冒頭に括弧書きで記しています)に関しては、求人や面接での言及の有無を書きました。あくまで個人の経験に基づくものであり、かつ定性的な話であることに注意してください。また筆者に何の実績もない項目に関しては一般論あるいは想像の域を出ない内容だと断っておきます。
解析コンペ(Kaggle)
(Competitions Expert、ソロSilver1枚、ソロBronze2枚)
面接でKaggleに関する話題をふられることがありました。またLinkedInやビズリーチに届いた求人で「Kaggle Expertの●●様」「Kaggle経験のある●●様」といった文言を少なからず見ました。「Kaggle銀メダル獲得者が在籍!」とアピールしている求人票もありました。
Twitterなどを見るとMaster以上やGold獲得者が転職市場で評価されることは自明ですが、Bronzeレベルでも一定の評価はされるようです。また、実績の「質」を確認するために以下の点が見られるかもしれません。
- ソロでの実績があるか
- 比較的新しい実績はあるか
- どのコンペでの実績か(shakeの大きいコンペか)
Kaggleが評価される理由として、データ解析に関するコンペであること以外に、レベルに関する共通認識が業界内でできあがっていることが考えられます。GrandmasterやMasterといった称号やメダルの数・色でデータサイエンティストとしての能力(の少なくとも一部)がある程度伝わるということです。ほかに共通認識ができていそうな解析コンペは日本だとSIGNATEあたりでしょうか。
論文
論文を書くことが業務に含まれるポジションならば、(査読ありの)論文があることは選考に有利でしょう。場合によっては論文なしだと相手にされないかもしれません。論文を書くことが業務に含まれなくても、専門性をアピールするのに論文は強力な実績だと思われます。
特許
(2件、うち1件は筆頭発明者)
面接のなかで特許を取得した実績を評価していると言われたことがあります。ほかにも企業から届いた求人で「特許取得の実績もあり求人を送らせていただきました」のようなメッセージを何度か見ました。
このように特許は一定の評価をされるようですが、取得するには法務や弁理士との連携が不可欠です。論文に比べると実績を出せるかどうかが所属する会社の協力体制に依存するといえます。また出願してから審査結果が返ってくるまでに1年くらいはかかり、思い立ってからすぐに結果を出すには向きません。
書籍
著書があるデータサイエンティストの数は少ないはずなので、差別化しやすい実績ではないでしょうか。また、通常は論文や特許より読むハードルが低いので、データサイエンティスト以外の人にもアピールしやすい実績である気がします。
書籍を出版するには出版社と関係を構築しなければならず、そのための体系だった方法はありません。Kaggleや論文のように、実力があれば実績を作れる性質のものではないことに注意が必要です。
ブログ
当たり前ですが、とりあえずアウトプットを出すだけなら論文や特許や書籍よりもはるかに簡単です。誰でもできる分、転職市場で評価してもらうには中身が重要になるでしょう。職務経歴書にリンクを貼っておけば読んでもらえるかもしれません。また、ブログが出版社の目にとまって書籍の出版が持ちかけられた事例を聞いたことがあります。
ソースコード
ブログと同じく、プログラムをGitHubなどにアップロードしておくことは有用でしょう。データサイエンティストの場合、ブログで取り上げた内容の実装をGitHubで管理している例も見られます。AIエンジニアという職種名で募集しているような開発職の強いポジションならば、データサイエンスの領域にとどまらない開発スキルをアピールするのにソースコード資産が役立つでしょう。
資格
(統計検定準1級・応用情報技術者)
Kaggleや特許と異なり、筆者宛ての求人メッセージで保有資格に触れられた経験はありませんでした。求人情報のスキル要件で「統計検定2級程度の知識」と書いてあるのは見たことがあるので、統計検定はある程度認知されていると思われます。
そのほか、情報処理技術者試験やGoogle・AWSのクラウドに関する試験はエンジニアリング寄りのスキルをアピールしたりそのような職種に応募したりするには有効かもしれません。
学位
(データサイエンス関連の修士課程に在籍)
まだ学位を取得していないからかもしれませんが、大学院に在籍していることについても特に触れられたことはありません。とはいえ、求人によってはデータサイエンス関連の学位が応募要件になっています。
外資系は修士号以上が必要などと言われることがありますが、学士で応募できる求人も多く見かけましたし、実際に学士で入社した例も知っているので、会社とポジションによるでしょう。逆に日系でも研究色が強いポジションを中心に修士や博士を求める求人はざらにあります。